職員室の裏側

教員歴12年になるひらしぃです。現役高校教員が色々な記録をしていきます

中学生から見た高校の選び方の疑問

中学生の「高校選び」に

常々疑問を持っていました。

 

それは、

 

なぜこれほど魅力的な工業高校を選ばないのか

 

 

中学校の教員の知人数名に聞いたこと、

私としてはショッキングなことでした・・・

 

 

 

今日は県内の県立高校の入学試験の日で、

私は試験監督や受験生の誘導などの

職務を果たしてきました。

 

受験生達はとても緊張した面持ちで試験を受けていましたが、

我々教員も念に一度の大イベントにてんやわんやでした^^;

 

毎年試験監督はしているものの、

こればっかりはなかなか慣れません。

県のほうから送られてくるマニュアルを良く読み、 

その通りに動くように私もピリピリしていました。

 

 

本校は例年通り、

定員漏れもなくそこその倍率でしてが、

私としては今の何倍も高い倍率になってもおかしくない

力を持った高校だと思っています。

 

 

 

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私が現在努めている学校が

魅力的に映るのには大きな理由があります。

 

 

私は元々、

出身は秋田で

20歳までは秋田に住んでいました。

 

その後いくつかの県を転々とし、

今は茨城で教員をやっています。

 

私が茨城に来て最も驚いたのは

その就職先の豊富さ

結構な数の工業高校生が

日本をけん引しているような

大企業に就職していることでした。

 

言葉を選ばずに言えば、

茨城の工業高校の学力は

特に高くありません。

それにも関わらず

大卒でもなかなか就職できないような一流の大企業に

毎年多くの生徒が内定をもらっていることに

大きなカルチャーショックを覚えました。

 

特に私のような

就職氷河期世代は

何十社、場合によっては何百社も試験を受けて

ようやく1社内定をもらうのが

普通の感覚だったので、

この現実を受け入れるのに時間を要しました。

 

 

秋田県の工業高校や高専

非常に残念なことに

新卒で大企業に入社することは困難です。

理由は単純で

求人が無いからです。

 

 

ところが、

茨城県というところは

非常に産業が活発で、

農業と工業が非常に大きな力を持っています。

茨城に来て一番に思ったのは

その工場の敷地の広さです。

広大な敷地を持った工場が

県内の各地に分布しているのです。

 

だから大企業が行う教員向けの会社説明会に参加すると

全国各地の高校から進路担当の教員が集まります。

秋田の工業高校の先生ともそこでお会いしたことがあります。

しかし茨城の工業高校で

県外にわざわざ求人を貰いに行く教員は

まずいません。

それだけ茨城の工業高校は恵まれているのです。

 

 

H製作所に入社した教え子の中には

入社式を終えてから私に電話をかけてきて

「先生、ヤバい!俺の同期に東大生がいる!」

と震える声で報告してくれた子もいます。

それだけの大企業となると

東大の出身者がたくさんいるのはまあ

当然のことなのですけどね。

 

 

他にも高卒ながら既に私より高いお給料を貰っているとか、

中学校時代はとても優秀で高校大学と出たけれども

自分の下請にいる昔の友人がいる、

というような話を教え子から聞くことがあります。

 

日本を代表する企業に入社した子達は

しっかりした待遇を受け、

中学時代頭の良かった子達を使う立場になるでしょう。

 

 

こういう現実を目の当たりにし、

私の中で大きな疑問が芽生えました。

 

 

「なぜこれほどの就職先がありながら、

茨城の子供たちは普通高校を選択するのだろう?」

 

 

もちろん大企業に入社することが

人生のすべてではないし、

茨城にはオンリーワンの技術を持つ

素晴らしい中小企業がたくさんあることはわかります。

 

自分の夢や将来のビジョンのあるような子は

目的を持って高校選びをしているのしょう。

 

 

しかし私が彼らの立場ならば、

迷わず工業高校を選択し、

そこでトップの成績で

大企業に就職することを選ぶでしょう。

 

もしも世間で良く言われるような

良い会社、大きな会社に入ることが目的ならば、

わざわざ進学校に進み、

難しい大学に行って、

さらにそこでも高い成績を狙うより、

工業高校でいい成績を取るほうがずっと易しいし、

確実に内定が狙えます。

 

 

 

この疑問は何年もの間、

私の頭の中で結論の出ないまま

ぐるぐると回っていました。

 

 

そして先日、

ある中学校の先生に私のこの疑問についてぶつけてみました。

すると帰って来た答えはこういうものでした。

 

「中学生も保護者もそんな先のことまで考えていない。」

 

「高校は名前で選ぶ、保護者もそれを望んでいる。

そこには後で逆転されるという発想はない。」

 

 

 

なるほど、確かに思い返せば私も中学時代は

そこまで深く考えて高校選びをした記憶はありません。

自分の学力とそれに見合った学校を選ぶのが

昔からの慣習のようになっているようです。

 

ただ、

もしも実業高校の実態を知らずに

機械的に例年の合格ラインだけを見て

自分の進む高校を選んでいるとしたら、

すごくもったいないなあと思います。

 

これは構造上仕方の無いことですが、

もう少し中学校の先生や

保護者の方達に実情を伝えられればなあと思っています。

(商業高校の就職実績もかなりのものです。

これほど産業の栄えている茨城県

魅力度が全国最下位というのは

わざと狙っているとしか思えません。)

 

 

 

 

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